人事が知っておくべき介護休業の基礎知識!押さえておきたいポイントまで解説!

人事が知っておくべき介護休業の基礎知識!押さえておきたいポイントまで解説! 人事の知識

介護休業とは

介護休業は「職業生活と家庭生活の両立」の観点から、社員が取得することのできる休業・休暇の制度等を規定した「育児・介護休業法」に基づき、社員が一定の親族を介護するために取得することができる休業です。高齢化が加速し、また共働きが多い現代においては社員の制度の利用は欠かせないものとなっており、それに合わせて企業側も、介護休業を取得しやすい環境を作らなければなりません。介護という理由で貴重な人材を失ってしまうことが無いよう、介護と仕事の両立支援制度について学びましょう。

企業に規則がなくても取得可能

介護休業制度は法に定めがあるため、要件を満たした社員が申し出をすれば、企業に規則がなくても取得可能です。ただし、社員に取得できる権利があっても取得しにくい環境であってはいけません。そのためには、まず第一として企業側は介護休業に関する規則を定めておくことが望ましいです。また、介護休業は有給にする義務はなく、無給でも問題ありませんが、そのことを就業規則に定めておくことがベストです。

不利益な取り扱いの禁止

育児・介護休業法には、介護休業をはじめとした仕事と介護の両立支援制度の定めがありますが、それに合わせて、それら制度を申出・取得したことを理由とする不利益な取り扱いを禁止しています。不利益な取り扱いとは、解雇、雇止め、降格などです。また、社員がそれら制度を利用することよるハラスメントが発生しないよう防止対策を行うことが企業に義務付けされています

介護休業の概要

介護休業とは、負傷や疾病、身体もしくは精神上の障害などの理由から、2週間以上の期間に常時介護が必要(要介護状態)な対象家族を介護するために取得できる休業です。

対象家族

介護休業取得の対象となる家族は、配偶者、父母、子ども、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫です。婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含まれます。

介護休業期間

対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業が可能です。

学ぶ人事
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介護休業給付金の受給期間も93日までです。企業によっては法律以上に介護休業期間を長く認めている場合もありますが、93日を超えた期間の給付金受給はできません。

制度の対象者

要介護状態にある対象家族を介護する社員であれば男女共に取得することが可能です。

雇用期間の定めのある社員の取得条件

パートタイマーやアルバイトなどの雇用期間の定めのある社員も、一定の条件を満たせば取得可能です。条件は下記のとおりです。

  • 入社1年以上であること。
  • 取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新することが明らかでないこと。

労使協定による取得条件

雇用期間の定めのない社員であっても、企業によっては労使協定により、下記一定の社員を適用対象外とすることができます。

  • 勤続年数が1年未満の社員
  • 申出の日から93日以内に雇用が終了する予定の社員
  • 週の所定労働日が2日以下の社員

介護休業の手続き

社員から介護休業の申し出があった場合、企業ではさまざまな手続きを行う必要があります。

申請の受け取り

概ね介護休業開始の2週間前までに、書面やwebシステムを利用して社員から介護休業の申請を受け取るようにしましょう。また申請時には必ず、対象家族が要介護状態であることが証明できる書面(電子でも可)の提出をしてもらうのが良いでしょう。証明書の例としては、医師の診断書要介護認定結果通知書があげられます。

通知書の交付

社員から介護休業取得の申出を受けたら、企業側は必ず介護休業取扱通知書」を交付する義務があります。交付は電子でも問題ありません。介護休業取扱通知書には以下の記載が必要です。

  • 介護休業の申出を受けたこと
  • 介護休業開始日および終了予定日
  • 介護休業の申出を拒む場合は、その旨およびその理由

その他、トラブルを防ぐために、介護休業期間中の待遇や、復職後の賃金・配置などの労働条件なども通知書に記載しておくのが望ましいでしょう。厚生労働省のホームページ等に様式が掲載されていますので参考にしてみてください。

延長の手続き

休業終了予定日の2週間前までに申し出ることで、1回の申出ごとの休業につき、1回に限り事由を問わず休業終了予定日を繰り下げ変更することが可能です。社員から介護休業延長の申出があった場合は、書面やwebシステムを利用して社員から介護休業延長の申請を受け取るようにしましょう。また、延長した場合も初回申出時同様、「介護休業取扱通知書」の交付が必要です。

学ぶ人事
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育児・介護休業法には、介護休業開始日の繰り上げ・繰り下げ変更の定めがなく、労働者の申出だけでは変更できません。認める場合は、変更できる旨の取り決めやその手続きなどをあらかじめ就業規則等で明記しておくといいでしょう。

社会保険料免除の手続き

育児休業期間は社会保険料(健康保険、厚生年金)が免除になりますが、介護休業期間においては免除にはなりません。無給とした場合でも社会保険料は発生します。そのため、企業側は社員からどのように社会保険料を徴収するか明らかにしておく必要があります。徴収方法として以下のようなものがあります。

  • 毎月労働者が事業主に支払う
  • 事業所が立て立替えておき、復職後社員が支払う
  • 休業期間中の保険料は、企業負担とする

※企業負担とした場合は法律上賃金とみなされます。そのため、本人の手元に渡っていなくても、税金や雇用保険の対象となります。

なお、雇用保険料については、企業負担する場合を除き、無給の場合は発生しません。

住民税徴収の切り替え

介護休業期間中、住民税の支払いも免除されません。通常、住民税を特別徴収(給与引き落とし)していて、介護休業期間中は無給としている場合は、住民税を普通徴収(社員本人が直接納付)に切り替える必要があります。

介護休業給付金手続き(雇用保険)

介護休業期間中に社員の収入が減る場合、介護休業給付金がハローワークより支給されます。給付金受給手続きは基本的に企業が管轄のハローワークへ行います。

申請に必要な書類

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 介護休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、社員名簿または出勤簿
  • 対象家族の証明書類(社員本人との続柄がわかる書類)

届出期限

通常、介護休業終了日の翌日から数えて2か月を経過する日が含まれる月の月末までに給付金の届出が必要です。また、介護休業期間が3か月以上の場合は、介護休業開始日から3か月を経過した日の翌日から数えて2か月目の末日までの届出が必要です。

介護休業給付金の受給要件

介護休業給付金を受給するには下記を満たしている必要があります。

  • 雇用保険に加入していること
  • 介護休業前の2年間で賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること
  • 介護休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月の賃金の8割以上が支払われていないこと
  • 介護休業期間中に就業している日数が、各1か月に10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であること
  • (期間の定めのある社員の場合は)勤続1年以上であること
  • (期間の定めのある社員の場合は)介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約の期間が終了することが明らかでないこと

介護休業給付金の計算方法

介護休業給付金の計算方法は下記のとおりです。計算された金額を支給単位期間*ごとに支払われます。

(*)休業が1か月ある時は1か月30日で計算され、それ以外は休業日数で計算されます。

休業開始時賃金日額*×支給日数×67%

(*)介護休業開始6か月前からの収入(保険料などが引かれる前の金額、賞与は含めない)の合計を180(日)で割ります。

その他仕事と介護の両立支援制度

介護・介護休業法には、介護休業以外にも、働く者の仕事と介護の両立を支援するための制度が定められています。いずれも負傷や疾病、身体もしくは精神上の障害などの理由から、2週間以上の期間に常時介護が必要(要介護状態)な対象家族を介護する場合、利用が可能です。

介護休暇

対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで休暇の取得が可能な制度です。取得単位は令和2年12月31日までは1日または半日単位の取得が可能でしたが、令和3年1月1日からは1日または時間単位での取得が可能となっています。また、介護休暇は有給にする義務はなく、無給でも問題ありませんが、そのことを就業規則に定めておくことがベストです。なお、介護休暇の活用ポイントは下記です。

  • 対象家族の通院の付き添い
  • 介護サービスの手続き代行
  • ケアマネージャーなどとの打合せ
学ぶ人事
学ぶ人事

労使協定により下記社員は介護休暇取得対象外にすることができます。

  • 1週間当たりの所定労働日数が2日以下
  • 入社6か月未満

短時間勤務等の措置

介護により就業規則などで定められている1日の勤務時間を短縮することが可能な制度です。利用開始日から3年以上の期間、2回以上取得が可能です。下記制度いずれか1つ以上の制度を設けることが企業に義務付けられています

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤の制度
  • 介護費用の助成措置

所定外労働の制限

就業時間に定められている勤務時間(所定労働時間)を超える労働、いわゆる「残業(所定外労働)」を制限する制度です。社員から申し出があった場合、企業は所定外労働を免除しなければなりません。本制度は介護が終了するまで利用できます。

時間外労働の制限

時間外労働とは、原則1日8時間、1週間で40時間という法定労働時間を超える労働のことです。社員から申し出があった場合、企業は1か月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。本制度は介護が終了するまで利用できます。

深夜業の制限

深夜業とは午後10時から午前5時までの労働のことで、社員から申し出があった場合、企業は深夜業を免除しなければなりません。本制度は介護が終了するまで利用できます。

まとめ

介護休業をはじめとした、介護と仕事の両立支援制度は頻繁に法改正がされています。また、共働き世帯が増えたことにより、制度を利用する社員も増え、社員からの注目度も高まっています。それに伴い、社員からさまざまな質問が来るかもしれません。人事担当者が法改正にしっかりとアンテナを張り、社内への周知や制度利用の環境整備などをしっかりと整えることで、働きやすい環境づくりを実現させていくことが求められています。

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