人事が知っておくべき育児休業の基礎知識!押さえておきたいポイントまで解説!

人事が知っておきたい育児休業の基礎知識!押さえておくべきポイントまでを解説! 人事の知識

育児休業とは

育児休業とは「職業生活と家庭生活の両立」の観点から、社員が取得することのできる休業・休暇の制度等を規定した「育児・介護休業法」に基づき、社員が子を養育するために取得することができる休業のことを言います。子を養育することは義務であるため、共働きが多い現代においては社員の制度の利用は欠かせないものとなっており、それに合わせて企業側も、育児休業を取得しやすい環境を作らなければなりません。

育児休業と育児休暇の違い

育児休業とよく混同されがちなのが育児休暇です。育児休業と育児休暇の違いは法に定められているか否かです。育児休業が法律に基づき取得することのできる休業制度である一方、育児休暇は法の定めはなく、各企業が独自で定めている休暇制度になります。育児休業には、法の下さまざまな権利が保護されており、給付制度もありますが、法の適用外である育児休暇には給付制度はありません。

企業に規則がなくても取得可能

育児休業制度は法に定めがあるため、要件を満たした社員が申し出をすれば、企業に規則がなくても取得可能です。ただし、社員に取得できる権利があっても取得しにくい環境であってはいけません。そのためには、まず第一として企業側は育児休業に関する規則を定めておくことが望ましいです。また、育児休業は有給にする義務はなく、無給でも問題ありませんが、そのことを就業規則に定めておくことがベストです。

不利益な取り扱いの禁止

育児・介護休業法には、育児休業をはじめとした仕事と育児の両立支援制度の定めがありますが、それに合わせて、それら制度を申出・取得したことを理由とする不利益な取り扱いを禁止しています。不利益な取り扱いとは、解雇、雇止め、降格などです。また、社員がそれら制度を利用することよるハラスメントが発生しないよう防止対策を行うことが企業に義務付けされています

育児休業の概要

育児休業期間

育児休業とは、1歳未満の子ども1人につき原則として1回、子どもが1歳に到達するまで取得することができる休業制度です。育児休業期間は原則下記のとおりです。

  • 育児休業開始日・・・産休終了日の翌日以降
  • 育児休業終了日・・・子どもが1歳に到達する日(1歳の誕生日の前日)

ただし、保育所に入所できないなどの事情があれば、最長で2歳になるまで延長が可能な制度です。

育児休業延長①1歳6か月まで

子どもが1歳の時点で保育所に入れない場合、1歳6か月まで育児休業を延長することができます。

育児休業延長②2歳まで

子どもが1歳6か月時点で保育所に入れない場合、2歳まで育児休業を延長することができます。

学ぶ人事
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育児休業給付金の受給期間も最長2歳になるまでです。企業によっては法律以上に育児休業期間を長く認めている場合もありますが、2歳を超えた期間の給付金受給はできません。

制度対象者

子育て中の社員であれば男女共に取得することが可能です。

雇用期間の定めのある社員の取得条件

パートタイマーやアルバイトなどの雇用期間の定めのある社員も、一定の条件を満たせば取得可能です。条件は下記のとおりです。

  • 入社1年以上であること。
  • 子が1歳6か月に達する日までに、労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

労使協定による取得条件

雇用期間の定めのない社員であっても、企業によっては労使協定により、下記一定の社員を適用対象外とすることができます。

  • 勤続年数が1年未満の社員
  • 申出の日から1年以内に雇用が終了する予定の社員
  • 週の所定労働日は2日以下の社員

パパ休暇

子どもが生まれてから8週間以内に育児休業を取得し復帰した場合、特別な事情がなくても1歳までの間に2回目の取得が可能です。

パパ・ママ育休プラス

両親がともに育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2か月に達する日までの間で休業することが可能です。

学ぶ人事
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パパ休暇とパパ・ママ育休プラスの合わせ技も可能です!

育児休業の手続き

社員から育児休業の申し出があった場合、企業ではさまざまな手続きを行う必要があります。

申請の受け取りおよび通知書の交付

申請の受け取り

概ね育児休業開始の1か月前までに、書面やwebシステムを利用して社員から育児休業の申請を受け取るようにしましょう。また申請時には必ず、親(社員)と子の続柄および子の出生日が証明できる書面(電子でも可)の提出をしてもらうようにしましょう。会社として育児休業取得の対象であるかの判断をするだけではなく、育児休業給付金の申請時にも必要になります。証明書の例としては、母子手帳(出生届出済証明記載ページ)住民票があげられます。

通知書の交付

社員から育児休業取得の申出を受けたら、企業側は必ず育児休業取扱通知書」を交付する義務があります。交付は電子でも問題ありません。育児休業取扱通知書には以下の記載が必要です。

  • 育児休業の申出を受けたこと
  • 育児休業開始日および終了予定日
  • 育児休業の申出を拒む場合は、その旨およびその理由

その他、トラブルを防ぐために、育児休業期間中の待遇や、復職後の賃金・配置などの労働条件なども通知書に記載しておくのが望ましいでしょう。厚生労働省のホームページ等に様式が掲載されていますので参考にしてみてください。

延長の手続き

子どもが1歳の時点で保育所に入れない場合、1歳6か月、さらには2歳まで育児休業を延長することができます。社員から育児休業延長の申出があった場合は、書面やwebシステムを利用して社員から育児休業延長の申請を受け取るようにしましょう。その際には、子どもが1歳、さらには1歳6か月の時点で保育所に入れないことが証明できる「不承諾通知書(通知書の名称は自治体によって異なる)」を提出してもらいましょう。育児休業給付金の申請時にも使用します。また、延長した場合も初回申出時同様、「育児休業取扱通知書」の交付が必要です。

不承諾通知書は、育児休業終了日の翌日時点で保育所への入所ができないことがわかるものの提出が必要です。ただし、保育所の入所は毎月1日であるケースがほとんどです。そのため、育児休業終了日の翌日が属する月の1日付入所の不承諾通知書を提出してもらえば問題ないでしょう。

※育児休業給付金の手続きにおいてはハローワークによって日付のルールが異なる場合がありますので、念のため確認しておくといいでしょう。

社会保険料免除の手続き

育児休業期間中の社会保険料(健康保険、厚生年金)は社員、企業ともに免除となります。免除期間は、育児休業開始月から終了予定月の前月まで(育児休業終了日が月末の場合は育休終了月まで)です。社員から育児休業の申請を受け取った後、企業から育児休業期間中に年金事務所に「育児休業取得者申出書/変更(終了)届」を提出しましょう。また、育児休業期間が延長になったり、あるいは早く終了になったり、当初の予定から変更となった場合は、同様の届出の提出が必要です。なお、社会保険料免除期間中は被保険者としての資格は喪失しません。また、免除期間中も社会保険料をしはらったものとみなして将来の年金額が計算されます。

住民税徴収の切り替え

育児休業期間中、社会保険料の支払いは免除されますが、住民税の支払いは免除されません。通常、住民税を特別徴収(給与引き落とし)していて、育児休業期間中は無給としている場合は、住民税を普通徴収(社員本人が直接納付)に切り替える必要があります。

育児休業給付金手続き(雇用保険)

育児休業期間中に社員の収入が減る場合、育児休業給付金がハローワークより支給されます。給付金受給手続きは基本的に企業が行います。支給期間は、原則子どもが1歳になるまでですが、保育所への入所ができない場合など、復職ができないやむを得ない事情がある場合は1歳6か月、さらには2歳まで延長することができます。

申請に必要な書類

初回
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、社員名簿または出勤簿
  • 母子手帳(出生届出済証明記載ページ)や住民票などの、育児を行っていることが証明できる書類 ※社員からの育児休業申出時にあらかじめ預かっておきましょう。
延長時
  • 育児休業給付支給申請書
  • 賃金台帳、社員名簿または出勤簿
  • 保育所への入所ができないことが証明できる「不承諾通知書」

不承諾通知書は、育児休業終了日の翌日時点で保育所への入所ができないことがわかるものの提出が必要です。ただし、保育所の入所は毎月1日であるケースがほとんどです。そのため、育児休業終了日の翌日が属する月の1日付入所の不承諾通知書を提出してもらえば問題ないでしょう。

※育児休業給付金の手続きにおいてはハローワークによって日付のルールが異なる場合がありますので、念のため確認しておくといいでしょう。

社員が保育園の入所申し込みをしていなかった場合は給付金支給は延長できるか

育児休業給付金については、社員自身もしっかりと調べて必要な手続きをしていることが多いですが、稀に「保育所の入所の手続きをしていなかった!」というケースがあります。保育所の入所の手続きをしていない場合は、給付金支給申請に必要な不承諾通知書の取得ができません。その場合は、不承諾通知書に代わる証明書を社員に取得してもらうなどしてみましょう。自治体によっては発行してもらえる場合があります。そして、その証明書と疎明書(対象月に社員が入所の意思があった旨を記載した書面)を提出すれば延長を認めてもらえる可能性が高いです。また、保育所の入所手続きをしていなかったことが発覚した場合は、早急に最短月付の入所申し込みをするように社員に伝えましょう。子どもが1歳、あるいは1歳6か月に到達する前に申し込みをしていれば、その申込書と疎明書で延長を認められる可能性もあります。ただし、最近の育児休業給付金の延長手手続きの条件は非常に厳しくなっています。保育所入所申し込みの手続きが漏れないよう、社員へあらかじめ周知しておくことが大切です。

育児休業給付金の受給要件

育児休業給付金を受給するには下記を満たしている必要があります。

  • 雇用保険に加入していること
  • 育児休業前の2年間で賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること
  • 育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月の賃金の8割以上が支払われていないこと
  • 育児休業期間中に就業している日数が、各1か月に10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であること
  • (期間の定めのある社員の場合は)勤続1年以上であること
  • (期間の定めのある社員の場合は)子が1歳6か月に達する日までに、労働契約の期間が終了することが明らかでないこと

育児休業給付金の計算方法

育児休業給付金の計算方法は下記のとおりです。

休業開始時賃金日額*×支給日数×67%(休業開始から6か月経過後は50%)

(*)育児休業開始6か月前からの収入(保険料などが引かれる前の金額、賞与は含めない)の合計を180(日)で割ります。

その他仕事と育児の両立支援制度

育児・介護休業法には、育児休業以外にも、働く者の仕事と育児の両立を支援するための制度が定められています。

子の看護休暇

子どもが1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで休暇の取得が可能な制度です。取得単位は令和2年12月31日までは1日または半日単位の取得が可能でしたが、令和3年1月1日からは1日または時間単位での取得が可能となっています。小学校入学前の子どもがいる社員が対象になります。また、子の看護休暇は有給にする義務はなく、無給でも問題ありませんが、そのことを就業規則に定めておくことがベストです。なお、看護休暇の活用ポイントは下記です。

  • 子どもが病気やけがをした場合
  • 予防接種、健康診断時

短時間勤務制度

育児により就業規則などで定められている1日の勤務時間を短縮することが可能な制度です。例えば、就業規則に定める勤務時間が8時の場合、勤務時間を6時間に短縮して保育園の迎えにいくといった活用ができます。3歳未満の子供がいる社員が対象になります。なお、短縮時間については法の定めはなく、各企業で定めることになります。

所定外労働の免除

就業時間に定められている勤務時間(所定労働時間)を超える労働、いわゆる「残業(所定外労働)」を免除する制度です。社員から申し出があった場合、企業は所定外労働を免除しなければなりません。例えば、「保育園の迎えに間に合わなくなってしまうため残業はできない」という場合に活用されます。3歳未満の子供がいる社員が対象になります。

学ぶ人事
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※短時間勤務制度と所定外労働の免除を併用して、勤務時間を短くしたうえで残業の免除を受けることも可能です。

時間外労働の制限

時間外労働とは、原則1日8時間、1週間で40時間という法定労働時間を超える労働のことです。社員から時間外労働の制限の申出があった場合、企業は1か月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。たとえば、保育園の迎えを配偶者と交互に行っていて、1か月24時間以内なら時間外労働ができるといった場合に活用できます。小学校入学前の子どもがいる社員が対象になります。

深夜業の制限

深夜業とは午後10時から午前5時までの労働のことで、社員から深夜業の制限の申出があった場合、企業は深夜業を免除しなければなりません小学校入学前の子どもがいる社員が対象になります。

まとめ

育児休業をはじめとした、育児と仕事の両立支援制度は頻繁に法改正がされています。また、共働き世帯が増えたことにより、制度を利用する社員も増え、社員からの注目度も高まっています。それに伴い、社員からさまざまな質問が来るかもしれません。人事担当者が法改正にしっかりとアンテナを張り、社内への周知や制度利用の環境整備などをしっかりと整えることで、働きやすい環境づくりを実現させていくことが求められています。

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